君達はもしかして、バットマンがジョーカーを倒しに行く、
この戦争の事をそのくらいに感じてはいないか?
君達は大きな間違いをしている。
闘うのはアメリカとイラクでもなければ、ブッシュとフセインでもない。
二つの国の兵士達だ。
同じように青春を過ごし、きっといくつかの恋を重ね、今を懸命に生きている人間だ。
君達と違うのは、生まれた場所と選んだ仕事、それだけなんだ。
これはチェスでもなければ陣取りゲームでもない。
最先端の精密誘導武器でも、撃たれれば穴があき、血が流れる。
もしくは跡形もないほどに吹き飛ぶ。
苦しみの中で去る還らぬ生命には差なんてないさ。
何故彼らは戦わなくてはいけない?
正義のため?祖国のため?職務のため?
そしてたくさんのあの国の市民は、なぜ巻き込まれなければならないの?
独裁者を倒すため?
世界平和のためのしかたがない犠牲だから?
その犠牲者は、生まれた場所と運が悪かっただけだとでもいうのかい?
彼らがテロを起こすから?
ひたむきに生きてる彼らの目を見た事があるかい?
一部の犯罪者の罪を、全員がかぶらなくてはいけないのかい?
君達の国がテロを受けたから?
君達はその時のショックと悲しみを覚えているだろう?
同じ想いをなぜ他の人に強要できるんだい?
それでも正義のために必要な犠牲だと言うのならば、
君達がその犠牲になってはくれないか?
世界平和とやらのステゴマになってくれないか?
ためらうならば、君の意見はうわっついた野次だ。
相手を見ずに掘り投げられた無責任なネズミ花火なんだ。
もし、このばかばかしさに気付いてくれたなら、
今すぐ停戦を訴えよう。
生命のムダ使いはもうたくさんだ。
いくつもの悲壮な歴史を繰り返してなお、人類は前進していないのかい?
小さな力が集まれば、大きな力にだってなるハズさ。
今なら、まだ止まれる。
悲劇が次の悲劇を呼ぶ前に。
これ以上の血と涙が流れる前に。
声をあげよう。
本当の正義と平和のために。
◆『タダシイ・センソウ』
◆『砂漠の空へ』
◆『或る国の主張』