なちゅれ・小笠原旅行紀


9月18日
とりあえずまた朝散歩

この日も懲りずに朝日の昇る前に起き出して活動開始。修学旅行の学生のように、 特殊な睡眠サイクルに入るのでしょうか、通常の遅刻常習者からは想像もつかない 生活です。
朝日を見に行くという誘惑と闘いつつ、もしかしてという期待を一杯抱いて、 亜熱帯植物園に。早朝、寝る直前のオオコウモリに会えるかもしれないじゃない などと期待したわけですが、まだ薄暗い園内をひたすら歩き回った結果、 みごと振られてしまいました。グスン。またこちらも次回のお楽しみのようです。
それでも歩きまわると、いろんな花が見れて結構楽しいモンです。昨日の夜 捕まえたオカヤドカリちゃんもここで記念撮影のあと無罪放免。
日が昇りきったので、改めて中央山のほうに移動することにしました。


オジギソウの花、かわいい花でしょ?

小笠原固有の唯一の針葉樹、シマムロの実

オオコウモリの食事跡?一面に散らばったタコノキの実

ムラサキオカヤドカリ。通称「おちヤドカリ」

いつものように長谷の方から道路をのんびりよそ見しながら上って、 中央山へ。朝一番、棲み切った青空の下で一望する父島の景色は やはりなんとも気持ちよいもの。むぅ。
ここで小笠原固有のまっ黒なオガサワラクマバチに出会えました。 こちらは感動したのですが、向こうはそうではなかったようで、あっと いう間にそっけなくはるかかなたまで飛び去りました。よって写真なし。
そうやってボヤボヤしていると、陽射しもだんだん肌を焦がすような 物になってきます。とりあえず宿に戻って朝飯の時間のようです。


途中で見つけたヒノキバヤドリギ

中央参加らの眺め。絶景なり

シマザクラの群落

一面に咲き誇るタチアワユキセンダングサ。帰化種

とりあえず宿に帰ると、松井さんはすでに身支度整えて朝飯を食べはじめて いましたが、約一名は不撤退の決意も固く布団にしがみついています。
ケツのあたりに軽くローキックをかまして起こすとピントのあってない顔つきで しばらく虚空を眺め、ようやく起きあがって一言。
「あ、兄貴。オカヤドカリどないした?」
「おう、もう逃がしてきてもたぞ」
「そうなん?あれって、よく見たら”Intel inside”って書いてあらんかったか?」
あまりに意味不明のセリフに、南の島の熱病にでもかかったかと思いましたが、 単なる天然ボケのようで、この遺伝子が等配分されているであろう自分の素質を しばし嘆いたりしました。う〜ん、すげぇ名台詞だと思いません?
朝飯の後、出航までの時間を利用して、小港海岸から歩いてしばらくいったブタ海岸を目指す ことにしました。悟郎氏は本当はジョニービーチに行きたかったようですが、 いかんせん時間が足りない。これもまたのお楽しみですね。
そんで、ブイブイとスクーターすっ飛ばして到着した小港。すぐさま脇の山道を えっちらおっちら登ります。


小港到着。よし、登るぞ!

八瀬川という川の河口の風景

しばらくは結構けわしい山道で、寝不足の身にちょいとだけこたえたりしつつ、 うんせうんせと登ります。道すがらいろんな植物があって、デジカメ振りまわしては あわててまた追いつくという繰り返し。
やがて尾根近くまで上がると、左右に突然大パノラマな風景が広がります。 ここもステキ、あらこっち側もいいわねぇ。バーゲンセールのおばさまのような 新嬢に陥りつつ、どっちにカメラを向けようかと悩む時間がしばらく続きます。
先行する松井さんもご同様の様子でキョロキョロ。そのはるか前方で花より団子の悟郎氏が、 なにやっとんねんという顔つきで見ています。
しばらく歩くと、突然足元からバッタが飛び立ちました。小笠原でバッタなんて、こいつはきっと とんでもなく珍しいものに違いないと思い、あわてて地面をはいずって激写。 後日調べてみると、小笠原に棲息する唯一の広域分布種、トノサマバッタでございました。
いやぁ、今回の旅は本当に昆虫とは縁がない。


間近に咲いていたオオハマボウ

うわぁすげぇ。撮影しがいがあるねぇ

途中で見かけたムニンアオガンピ

小港海岸の全景

かなり上って、結構下って、距離と高低差はあったんだけど、なんだか 楽しんでいるうちにいつのまにやら到着したのがブタ海岸。 波打ち際にはまたグンバイヒルガオの群生。キラキラ波輝くステキな場所 でした。松井さんはまた散歩を続け、我々兄弟は一泳ぎ。
とりあえずザブンと飛びこみ、奥の方へ。ニシキベラなど見なれた魚が いつものように泳いでいますが、近場は砂地で魚も少ないので、奥の岩が 散在する辺りまで泳いでいきました。
いつものように、魚を追って潜った時です。目の前の岩の下に、大きな影。 瞬間で脳髄に届いた認識を、追い払うようにしばらくじっくり眺めます。
間違いない。サメです。
ネムリブカには見えなかったような。メジロザメ系かな?こんな浅い湾にいる んだから人を襲うやつじゃないな。じゃあ大丈夫。とりあえず脅かしちゃいけないからゆっくりと 泳いで岸に向かって……
頭がそう考えている間、気付くと体は本能の赴くままに全速力で岸に向かって泳いでいました。
浜まで戻って五郎氏を捕獲し、状況報告。
なんとなくお互いもう一度泳ぐ気にならなくなって、近くにある川の河口をのぞきに行きました。 行ってみるとこちらも干上がりかけているのか、最後は伏流水になっている様子。
川からの水が出てきていると思われる辺りを見ていると、たくさんのボラが泳いでいました。 おなかを擦りそうに浅いけど、とりあえず潜って近づいてみると、うろこがキラキラ輝いて ドキッとするほどキレイです。
ほんの2〜3分追いかけてから岸に戻ると、満面の笑顔の悟郎氏。
「そこ、サメ、サメ」
見ると私が泳いでいたホンの2〜3m向こうに、小型の黒っぽいサメの影。1mそこそこでしたが、 水面からせびれを出した、ジョーズでおなじみの姿は不思議と迫力があります。
決定的に泳ぐ気がうせたところで、松井さんと合流し、再び山道へ。なんともしまらぬ 泳ぎ納めでした。


真夏の青空。業界用語でドピーカン

ブタ海岸。白砂の美しき海岸と泳ぎ始めた悟郎氏

えっちらおっちら、ふたたび同じ道を登って、小港海岸へ戻ります。
道中またいろんな花と風景にぶつかって、ろくすっぽ泳いでないくせに妙に 気疲れた体をものともせず、ブンブンとデジカメを振りまわしつつの行軍。
尾根の頂上で一休みし、しばし絶景を堪能。青い空と青い海が体の中に染み込んで 来るような気持ちにしばらく浸りました。
近くで再びトノサマバッタを見つけたり、途中でずうずうしいヤギの群れに出会ったりしながら、 わりとすんなりとスクーターの止めてある小港に到着。
予定より泳いだ時間がかなり短かったので、中途半端に時間があまり、 それならばとまた山道をブンブンとばして、中央山に行ってみました。 何度来ても島全域を一望する眺めは絶品。壮大な光景の見納めという意味では、バツグンの 選択だったのではと思います。


尾根の頂上で一休み

ブタ海岸の風景

目の前に現れたヤギ。島の植生の破壊者

南の島の珍種と思いきやトノサマバッタ。



9/18(後半)へ