半日播磨巡り〜涙と怒りな日〜 10.5/16

この日は、所用があったので半日トライアル。
まぁ、前日の寝不足があるので全日編だともたなかったでしょうが(笑
それでは、ということで前々から楽しみにしていた憧れの花に逢いに
行こうと寝不足を押して山をよじのぼってきたのですが
これがまったく予想外の驚くべき展開となり
吃驚仰天。唖然呆然。
詳しくは本編にてお話しますが、寂しいことにこういった事態は
やはりまだまだあるんだなぁ、と涙と怒りにまみれた1日となりました。

<1>播磨地方某所

  
まずは夜明け前にやってきたのは、毎年1度は挑戦する某所。
ハルゼミの羽化狙いというタクラミなのですが、なぜか私はこいつと縁がない…
ということで、今回も大量の羽化殻(左)に混じって、羽化失敗個体(右)を
やらを発見しただけ。せっかく死力を絞って早起きしたのに…

  
しばらく死んだように仮眠を取ってから、ふらふらと場所を変えて
とある山麓へ。歩き始めると、沢沿いにはウワバミソウの大群落(左)やら、
ヒメレンゲ(右)やらがみつかってちょいと盛り上がります。

  
ふと道端にアオダイショウの塊(左)を発見。えらいこと長い個体やなぁと
感嘆していたのですが、やがて解けて2匹(右)が逃げていって二度ビックリ。
ということは、愛を語らっている途中だったのか?

  
さて、気合を取り直して山道を登っていくと、大満開のムベ(左)があったり、
イワシモツケ?(右)やらが咲いていたりして嬉しくなります。

  
花芽をつけ始めたトチバニンジン(左)も発見。そうこうするうちに
道端のあちこちにコウライテンナンショウ(右)が目立つようになります。

  
小さな沢沿いには、ミヤマハコベ(左)も見つかりましたし、
タチネコノメソウ(右)もパラパラとあちこちで咲いています。

  
なかなかかわいらしかったのは、木影に咲いていたタニギキョウ(左)。
コバノミツバツツジ(右)もいい感じに咲いていました。

  
ちょいと驚いたのは、道中で見つけたオオアカゲラ。といっても短時間の出会いで、
♂(左)はアタマだけ、♀(右)はドピンボケしか撮れませんでしたが、
この時期いるってことは繁殖していそうですね。このあたりじゃ貴重では?

  
あちこちでパラパラと不思議な花(左)も見つかりました。
オウギカズラかと思ったら葉の形が違うし、ニシキゴロモにしては分布域が違うし、
これもツクバキンモンソウの範疇になるのか??あまりに違うけどなぁ…
近くには、花色の淡いシハイスミレ(右)も見つかりました。

  
陽だまりでは、サトキマダラヒカゲ(左)が元気にテリ張ってました。
あたりには、こちらも大満開のケクロモジ(右)も発見。

  
うろうろしていると、もうボロボロでしたが、アカヤシオの咲き残り(左)も発見。
樹の下には花の跡(右)がパラパラ落ちていていい感じです。

さて、実はここの主目的は、実は天下の至宝、セッピコテンナンショウ。
某筋から詳しいポイントも教えてもらっていたので気合を入れて
探し回りますが、これが一向に見つかりません。
何度も山道を往復してヘロヘロになっても成果なく、
通りがかった登山客と四方山話をしていたところ彼から衝撃の一言。
「ああ、セッピコテンナンショウですか、実は昨年全部盗掘されたんですよ」

…ま、マジですかソレは(>_<)!
何でも小さな株から順に数週間かけて掘り取られていって
最後には1株も残らなかったとか。
「悪いヤツもいるもんですよ」とおっしゃってましたが、
まさかそんな事態があったなんて想像もしていなかったので茫然自失。

  
あまりのショックにへたり込みつつ、ふと頭上を見上げると、大満開の
ヤマグルマがあって少し嬉しくもなりましたが、そんなこと言ってる場合じゃないなぁ。
…でもでも、このまま引き上げたらムダ足です。盗掘者の目の届かない
林の中や崖地には、きっと生き残りがいるはず!と信じて林道を外れることに。

  
すると、ビックリしたのはミヤマシキミ(左)のまだ咲き残っていた株があったこと。
花はありませんでしたが、シソバタツナミ(右)も見つかったりします。


そして!!
探し回ること約1時間。ついに発見しました!
憧れのセッピコテンナンショウです!
執念の勝利です!ハラショー!

  
晴れたり曇ったりの猫の目天気に翻弄されつつ、バシバシと撮影しまくり。
いやいや、諦めかけていただけに感涙の瞬間です。
しかし、昨年別の場所で見れた株と比べると、大きさがまるで違って今回の株は
かなりの小型。前回の株は葉の中央に白斑がありましたがそれもないんです。
系統の違う個体群かという話もありましたが、そうなのかもなぁ。

  
花のアップ(左)を見ると、上半分が紫でちょいと面白い雰囲気ですよね。
こちらも昨年見た株だと全部紫でしたし……正直別種ほどの差がありますネ。
その後もさらに探しまわると、それっぽい芽生え(右)も1つだけ発見。
でもさらに探すもそれ以上は見つかりませんでした。
テンナンショウ類は雌雄異株ですから、これは相当危機的状況ですね…

  
ちょっとやな予感がしてきたので、大急ぎで山を走るように降りて、
昨年セッピコテンナンショウを確認した場所に移動することに。
すると道中で、ご立派なサイズのジムグリと遭遇したりします。

  
道沿いには、ぽつぽつとコミヤマスミレが咲いていました。
よく考えたら今年はまだ出逢えていなかったので得したキブン♪

  
ふと道端の葉上を見ると、そこにはなんとも奇妙な幼虫。
カギバガ系だとは思うんですが、正体はよくわかりません(^_^;

  
さらにうろうろすると、大満開のタニギキョウ(左)や、こんな場所にもあるのねの
オチフジ(右)なんかを見ながら沢沿いを急ぎますが…
……ない!
昨年見れた株は姿も形もありません。これまた愕然・呆然です。
こちらも盗掘なのかどうかわかりませんが、この山域では知られていた株は
全滅状態のようです。なんともヤバそうな状態ですね。
そもそもこの花は長い間絶滅したんじゃないかといわれていたものが
近年再発見されたものなんですが、再び幻にならないことを祈るばかりです。

  
ドッと疲れながら引き返していくと、道端に立派なオオアミガサタケ(左)が
あったり、マンネンタケ(右)が見つかったりもしますが、山麓まで戻った頃には
寝不足で何度も山を登ったツケが来て、完全にグロッキー。
フラフラになりながら所用方面へ移動することになったのでした(^^;

というわけで、唖然某全な1日でした。
植物の中でも珍品奇品はつねに盗掘のリスクがつきまとうわけで
それもランだけでなくテンナンショウは人気のあるグループなわけですが、
まさかこんなことがあるなんて信じられません。
本当に産地の限られたド貴重品ですから、冗談抜きに今回の盗掘が
最後のとどめとなる可能性すらあります。
盗掘者には、自分の行為によって地球から1つの種が消えてしまうかも
しれないということを重く重く感じてほしいものです。
何年かたって、復活してくれることを切に切に祈るばかりですね。
そして、こんかいさらに感じたのは、いつ何時に
こういうふうに予想もしない急展開が起きるか分からないのだから、
憧れの生きものには、情報が入手できればすぐにでも
逢いに行くのがよいという圧倒的事実。
最近ちょっと息切れ気味ですが、まだ見ぬアレコレを探しに
やっぱりこれからも頑張って走り回らなきゃいけませんね♪


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