Boninの島へE〜現実への帰着〜 09.5/6
この日は、小笠原旅6日目。といっても、ほぼ終日海上の、単なる移動日。
そう、夢ついえて、あとはただ現実へ帰着するだけの日です。
しかも、海は大荒れ。台風の影響でものすごい雨風。
ぐったりげんなりするに充分すぎるほどの条件が整っています。
そんな中でもそれなりに楽しみがあるのは、鳥屋ならではですかね。
というわけで、大しけの甲板でひたすら海面を凝視する怪しい一行の仲間入りを
して、結局なんやかんやと丸一日遊んでしまったのでした。
玄人風味な方々がいたこともあって、けっこう面白いものも出ましたしね〜。
といっても、空振り旅とはいえ島での面白い旅路の後、
船が着けばあとは現実世界へ戻るだけというのはなんとも寂しい時間でしたよ(笑
<1>小笠原航路 |
さて、昨晩のゴタゴタであまり寝れずに目覚めると、壁に貼ってあったのは
台風1号の予想進路図(左)。そうか、こいつが元凶か。
外に出てみると、朝日はそれなりにすっきりしてるように見えましたが、
この後ものすごい勢いで雲が再び空を埋め尽くし、氷雨が流れ落ちます。
そんな隙間時間で、あちこちに大きな虹(左)が見れました。つまり、あのあたりには
大雨が降っているということですから歓迎できませんけどねぇ。
ふと気付くと、船の後をずっと着いてきているクロアシアホウドリ(右)を発見。
#お詫び:いつもどおり、ノートリの写真で掲載しますんで、今回は#
#ほとんどが見るのも厳しい写真ばかりですがご容赦くださいませ#
でも、しばらくするとうれしいことに、シロハラトウゾクカモメ(左)やら
トウゾクカモメ(右)やらが次々と現れてくれたんです。これはけっこう楽しめそうだぞ♪
しばらくすると、シロハラミズナギドリも何度も登場したんです。
昨日も出ていたらしいんですが、私はみそこねていたのでこれまた嬉しい限り☆
すぐ近くを何かが飛んでいるので、必死で撮影したら、なんとそれは
ムナグロ(左)でした。えっと、今渡っているところなんか?
面白いことに、3時間後にも、おそらく同一個体と思われるムナグロを見たんです。
ということはこいつらの渡りの速度は、おが丸の時速とほぼ同等なのか…
はる〜かかなたですが、クロトウゾクカモメ(右)も登場しました。点ですが。
クロアシアホウドリも何度か近くを飛んでくれました。
でも、もしかしてと期待していたアホウドリは出現せず、よくよく考えると
帰りの航路ではコアホウドリすら見ていないとあとで気付きました。ありゃりゃ。
んで、けっこう多かったのは、オーストンウミツバメ。
けっこう船に近い場所も飛ぶので狙ってみますが、なんせ相手が小さいので難しい!
こんなのも出ました。ってこんな写真じゃぁ分からないと思いますが、
こいつはシロハラトウゾクカモメの暗色型なんだそうです。
「これは珍しいですよ!私も2回くらいしか見たことないですから!」
と、航路専門の鳥屋さんが興奮気味に語ってたので、相当な珍品だったようです。
といっても、正直私にはピンと来なくて申し訳ないのですが(^^;
その後も、ハシボソミズナギドリ(左)やら、トウゾクカモメ(右)やら、
けっこういろんなものが出現してくれるのですが、徐々に雲がブ厚くなってきて
けっこうな暗さ+海が荒れて波しぶきがすごいんです。たははは。
もちろんのことながら、オオミズナギドリもそれなりに出現し、
ちょっとした小群も見れました。行きの船ほどの大群はでなかったけど。
なんか羽に白い紋のあるミズナギドリ類が飛んだので、しばらく悩みましたが、
これはハシボソミズナギドリの軽微な部分白化なのかな?
私のウデでは双眼鏡で観察してると撮れず、撮ろうとすると観察できず、難しいです。
シロハラミズナギドリはけっこう頻繁に登場してくれました。
思った以上にたくさんいるもんだなぁと思いましたが、この頃には海がさらに荒れて
かなりの雨まで振ってきて、少しでも遠いと白っぽく写っちゃうくらい。
甲板に立ってると(もちろん最上部の甲板ではないですヨ)、吹き込む雨と波しぶきで
服がけっこうビショビショになり、予想以上に寒くてガタガタ震えっぱなし。
海鳥を見てんだか、ガマン比べしてんだかわかりませんね、と笑い合ったり(笑
ハイイロミズナギドリはものすごし近距離を何度か飛んでくれました。
ありがたやと思いつつバシバシと撮影。これくらいに撮れると嬉しいものですね。
さらに海が荒れて荒れて、どうしようもなくなった頃、
シロハラミズナギドリ(左)に続いて、いきなりすぐ目の前に登場したのは
なんとオオトウゾクカモメ(右)じゃないですか!
一瞬で興奮度MAX状態になってあわててデジカメを向けますが、次の瞬間
吹き込んでくる波しぶきでレンズが真っ白。慌てて拭いつつシャッターを
何度も切りまくりますが、こんなのしか撮れませんでした…
ここに至ってようやく、フードがないのがいけないのだと気付いたので
即席フード(左)を作製。いえ、資料の紙を周りに巻いただけなんですが。
しかし、その後、回りに漁船が増えてきた(右)なぁと思ってると、
いつの間にやら東京湾に入っていると判明。鳥影もぱたっと激減しました。
タイミングよく、母島の宿でご一緒したK氏から、同宿だった方々もお誘いして一緒に
ランチしましょうというお誘いが来たので、あっさりと鳥見は断念(笑
様々な話題に花咲かせる楽し〜い時間を過ごしたのでした。
皆様、本当にありがとうございましたm(_ _)m
楽しい昼食会も終わって外に出ると、ドシャ降りの灰色な景色の中、
船の周りをいつのまにか東京のビル群が囲んでいます。
海の色もいつの間にか、見慣れた東京湾の茶色。
帰ってきちまったんだなぁ。
そんな感覚がスゴい勢いで襲ってきて、少しタジタジとなります。
小笠原での楽しい時間と、残してきた夢たちに思いを馳せることしばし。
う〜ん、いつになるかわからないけど、必ずもう一度挑戦しに行くぞ!
んで、下船後すぐに帰るのも悔しいので、都内のちょっとした公園に立ち寄りましたが
かなりの豪雨で、林の中で濡れ細ったエビネ(左)や、キンラン(右)を見たくらい。
そして、今回一番失敗したなぁと痛切に思ったのは、ここからの帰路が車なんですよね(笑
帰りの船ではのんびりできるだろうという予想だったんですが、あんま寝れてない+
豪雨&波飛沫の中で修行してましたから、当然ながら体力的にヘロヘロ。
なんとかかんとか帰宅した後は当然のようにしばし体調を崩して
HPの更新も大幅にズレ込ませてしまったのでした。おあとがよろしいようで。
帰宅すると、早くもベニモンカラスシジミが羽化していました。
弱齢で見つけたのが4/12ですから、いくらなんでも早すぎるんちゃうか(笑
というわけで、スッ空振りだったけど、楽しい旅路でした。
最終日のこの日は、海鳥修行(笑)もけっこうなんやかんやで楽しかったですが、
一番楽しかったのは同宿の方々とのランチだったかな?
本当にいろんな方々にお世話になった旅路でした。
みなさま、本当にありがとうございましたm(_ _)m
夢はやはり夢のまま置いて来てしまいましたが、なんといっても
一番思い入れのある場所だけに、今後ともチャンスをどこからかもぎ取って、
いつか必ず何度もリベンジを実施したいと思っています!
きっとその頃には、U氏を中心に進められている保護活動も実を結び、
きっと憧れの蝶に出会うことができるんだと信じています。
最後に改めてお願いです。
小笠原諸島には、独自の進化を遂げたユニークな生物層があり、
その中でギリギリのところで生き残っている貴重な動植物を保護すべく
地道な努力を重ねておられる方々がいらっしゃいます。
遠方にいる身としては、お手伝いできることすらあまりないわけですが、
やはりそこに共感し、応援していく機会を探していくことが
きっとなんらかの一助になっていくんだと思います。
そしていつか、時間が取れた時にでもこの素晴らしい島へ渡って、
固有の生きもの達に挨拶し、自然保護が島の活力に繋がっていくんだということを
島の方々に伝えることができれば、少しずつ何かが変わっていく気がします♪
どうぞご理解とご協力を、よろしくお願いいたします!!