祝!昆虫館オープン〜是非お越しを!〜 09.4/9

この日はめでたい席に出席してきました。
船越山にある、「佐用町昆虫館」の開館記念式です。
この施設、従来は「兵庫県昆虫館」という名前で長い間親しまれていたので
播磨地方に住んでいる人の中には、子どもの頃に行ったことがある人も多いはず。
残念ながら県からの支援が打ち切られ、昨年3月で閉館となって
いたのですが、存続の声が高まる中、「NPO法人こどもとむしの会」が主体となり
再オープンに至ったという次第なのです。
今回のメンバーには知人も多く、前々から準備の苦労話を聞かせていただきつつ、
なにかお手伝いしなきゃなぁと思っているうちに開館日になってしまったので
せめてものお詫び、ということもあって遊びに行ったのですが、
結果的に多様な虫屋さんたちとお会いし、ディープな話も聞かせていただき、
また嬉しそうに遊ぶ子ども達の顔に心なごみ、
なんだかものすごく幸せな一日となったのでした♪

<1>船越山周辺

  
この日は風邪ッピキが治らず、朝ゆっくりのスタートという異例の事態に(笑
まず船越山に行く前に前からのぞいてみたいと思っていた区域に立ち寄りますが、
天気予報は大ハズレで、朝は小康状態のはずが、早くも小雨がパラつきます。
歩くと、ヤマザクラ(左)やら、タネツケバナ?(右)は見事でしたが、それ以外は成果ナシ。

  
しょうがないなぁと引き上げようとすると、ちょっと意外な発見がありました。
溜池の縁に群生しているのは、なんとノウルシじゃないですか。こんな場所にもあるんだ。
かわいらしい花に感激しましたが、その後、移動中に強まる雨足にちょっとゲンナリ…

  
さて、急いでやって来たのは「佐用町昆虫館」。
少しだけ開館時間に遅れたので、到着した頃には粛々と記念式典が執り行われており、
ちょっと混じれそうな雰囲気ではなかったので、リニューアルした標本室(右)で
知り合いの虫屋さんたちと話しつつ、展示を見ることに。

  
しかし、この標本室がすごかった!
以前のこの標本室は、色あせた標本だらけだったのであまり印象がよくなかったのですが
今回は、スタッフが持ち寄った面白い展示に入れ替えられていて、
それも素人さんが見ても、マニアが見ても、見ごたえがあるように工夫されています。
その中には、思わず息を呑み、慌てて目をこすってもう一度凝視し、
そのままポカンと口をあけてしまうようなモノも結構ありました。
過去に佐用で捕られたホシチャバネセセリやウスイロヒョウモンモドキの標本や、
兵庫県でただ1度だけ記録された須磨海岸のメガネサナエ……
いやはや、是非一度直接見てください。間違いなく、溜息モンですぞ。

  
んで、もちろん飼育品もいろいろとあります。
今回は、地元千種川の淡水魚の展示も充実していて(写真撮り忘れましたが)、
それだけでも充分見ごたえありという感じでした。
もちろん昆虫方面もありまして、いまやド貴重品である播磨産のゲンゴロウ(左)や、
以前から買いつづけられているという大量のトゲナナフシ(右)なんかが圧巻。
凄腕スタッフが多数いますので、今後も次々と内容を充実させてくれそうな雰囲気です。
私もなんか面白いものが捕れたら、とりあえず持っていってみようかな〜♪

  
さて、この間の隠れた魅力は、長らく館長を勤められていた内海先生が
館の周辺に植栽されている貴重な植物達。これがマジでド級のものが多いんですよ。
というわけで、まずはボタンネコノメ(左)と、兵庫じゃ産地の少ないレンプクソウ(右)。

  
網室の中には、これまた見る機会のなかなかないチトセカズラ(左)もありました。
よくみると、網の外側にはかわいらしい実(右)も発見。今年は花を撮りたいなぁ〜。

  
こちらも播磨の誇る珍品、コヤスノキ(左)も実をつけていました。
そして、ハリマイノデ(右)も新芽を出していたりと、あまりの珍品揃いに一人興奮。
これは、これからも末永く維持していかなきゃいけませんよね。

  
雨に濡れ細っていますが、ミスミソウ(左)や、アズマイチゲ(右)も咲いていました。
ちなみにこの館に植えてあるものは全て由来が分かっているというあたりがスゴイ。
ものによってはすでに現地では絶えたものもあるそうで。

  
さらにビビッたのは、ミノコバイモ。これは私が最近見にいっている場所とは
別の場所から来ているようで、他にも産地があるんですねぇ。
しかし3週連続で逢うことになるとは思わなかったなぁ〜(笑

  
これもかなりのド貴重品、播磨産のトサミズキ(左)もありました。ひたすら感嘆。
ついでにとそのあたりのキジョランをのぞくと、次々とアサギマダラの幼虫(右)も見つかります。

  
その後、近くの沢へヤゴ探しに行くという一行がいらっしゃったので混ぜていただくことに。
すると、沢沿いが一面のミツマタの花園(左)でビックリしましたが、ミツマタは鹿が食わないと
いうことで、つまりはそれだけ鹿の害がひどいということなんですね。
さて、沢に下りるとさっそく、満開に咲いたミヤマカタバミ(右)を発見。

  
シロバナネコノメ(左)がポツポツと咲いていたり、セリバオウレンの実(右)
なんかもありましたが、肝心のヤゴのほうはというと、ヤマサナエ、ヒメクロサナエ、
ミルンヤンマといった程度で、狙いのムカシトンボは見つからず。むむ、残念。

  
その後、元気な虫屋少年に混じって、昆虫館の周りでちょっと虫探し。
ということで地面をほっくり返すと、クラミズウマ?(左)が出現。
このあたりでよく見る、なんか派手ったらしいヤスデ類(右)も転がり出ます。

  
んで、しばらく苦労して、目的のガロアムシも2匹GET!
私が見つけれたのは小さな幼虫だけでしたが、とりあえずの成果に一安心。
これが甘かったということがのちほど証明されるわけですが、それはさておき(笑

  
その後、近くの沢で水生昆虫採集をするという方がいらっしゃったので
こちらも混ぜていただいて遊ぶと、立派なオオヤマカゲロウ(左)なんかが結構捕れ、
ゲンジボタルの幼虫がかなり混じったのが印象的でした。
そして、驚いたのはその中に1匹混じっていたナガレホトケドジョウ(右)。ここにもいるのね。

  
その後は、館内でのんびりしていましたが、開館初日ということもあってか、
結構たくさんのお子さん連れが来館し、ワッペン作り(左)などで遊んでいかれました。
特に、先ほど捕ってきたばかりの水生昆虫をいじらせてあげると(右)、
子ども達がキャーキャー歓声を上げながらはしゃぐ姿に心和みました。
やっぱり、こういう機会って重要ですよね。是非皆さん、お子様連れで遊びに来てください!

  
最後に、ちょっと館の周りをウロウロすると、フサザクラ(左)はすでに盛りを越した雰囲気。
かわりに、コショウノキ(右)は満開で、なんとも見事な風情でした。

  
なんかかわいらしいキノコ(左)も発見。杉から生えているけど、なんて種類かな?
咲き始めのユリワサビ(右)もありましたが、春にはまだまだ、といった風情でした。

  
夕方になると、凄腕虫屋さんがまた面白いものを持参されました。
最近、兵庫の某所に帰化したという超大型のシロアリ、ネバダオオシロアリです。
私は全く知らなかったのですが、現場の凄腕学生達は「おっ、ネバダっすか」ってな感じで
知識の深さの違いを痛感いたしました。しかし、デカイね、あっという間に家が倒れそう(^^;

  
さて撤収するか、という頃になって、しばらく姿が見えなかった少年虫屋たちが
まだびしょ濡れになりながらガロアムシ堀りをしているという驚愕の事実を発見(笑
んで、呼びに行くと、「成虫取れたよ!」と、成果(左)を見せてくれました。う、羨まし〜!
悔しくなった私はすぐさま再挑戦したのですが、コロギスの幼虫(右)が
転がり出ただけで、ガロアムシは成虫どころか追加も捕れぬまま日が暮れたのでした。
じ、次回こそはばっちりな成虫を捕ってやるぞ〜!(←オトナゲないですかね?)

というわけで、実に充実した楽しい一日でした。
正直最初は一日館内にいたんじゃHP用のネタなんて拾えないな、どうしようか
な〜んて思ってもいたんですが、杞憂もイイトコ(笑
船越山あたりは植物相もスゴイですし、昆虫もあっと驚くモノがたくさん見つかってますから
今年は機会を見つけては足繁く通い、お手伝いがてらアレコレ探そうと思ってます!
最後に改めて宣伝をば。
リニューアルオープンした「佐用町昆虫館」は、見所一杯の施設です。
展示も間違いなく面白いし、これからはイベントもたくさん打ち上げていく予定とか。
何よりこの施設、志ある虫屋さんたちの手により運営されていて、開館は土日と祝日のみ。
毎日スタッフの誰かが一日館長として運営する方式で、手作り感いっぱいです。
館内の展示も、お子様方からマニアまで満足いただけること請け合いですし、
周辺の自然は実に奥深く、これまた子ども達の虫捕りから、
マニアな方々の探求まで、そつなく満足させてくれること間違いなし!
ぜひ一度、遊びに来てみてください☆
もしかしたら、ワタシが館長で座っていることもあるかもしれませんし、
その時にはとっておきの情報もこっそり教えちゃいますよん♪


次へ⇒

topへ⇒