なちゅれ・小笠原旅行紀

9月17日
とりあえず朝の散策

この日も5時に起床。内地では考えられないような規則正しく健康的な生活リズムは、 旅の環境のせいでしょうか?
というわけで、日の出に間に合うように昨日訪れた夜明け山へ急ぎます。到着する頃には 空がだんだん青っぽくなり、遠く海のかなたがぼんやりとオレンジ色に染まり始めていました。
待つほどに、悠々と姿をあらわす太陽。
圧倒的な存在感の赤い光はやがて勢いを増し、海原に金色の道を投げつけながら、グングンと 高さを増していきます。
刻一刻と変わる空の色。塗りつぶすようにくっきりと染め上げられる海面。
息を呑み、ただ見つめる、圧倒的な何かは、ちっぽけな僕のすぐ目の前で繰り広げられ、 やがて、南の島の陽射しがあたり一面に降り注ぎ始めます。


朝一番のライブショーの幕開け

悠々と上りつめる太陽。感動的な時間。

朝一番のすがすがしい空気をかき分けながら、島の幹線道路を南へ。
とりあえず、父島を一周してみようかなぁなどという、さすらい風の目的ですが、 そのくせしっかり四方八方をよそ見しながら進むので、あいかわらず寄り道だらけ。
途中で昔懐かしい「和紙っ魚ギャラリーZizy」の前を通りました。和紙を貼り合わせて 実物そっくりの魚を作る名人のギャラリーで、中に入るといろんな魚がぶら下がってたり、 壁に飾ってあったりと逆上的目移りを経験できるオススメのスポット。 そして、なにより私はZizyというネーミングがスゴイ好き。名人は結構なご高齢 というわけですが、このセンス、素敵でしょ?
しかし当然こんな早朝にはやっているはずなく、再訪は果たせませんでした。


「和紙っ魚ギャラリーZizy」。オススメっすよ

道端のヘゴの大木。ジュラシックパークのよう

フラフラ進むと、「亜熱帯農業センター」に到着。
何気なく中をのぞくと、当たり前だけどたくさんの木々とたくさんの花。 うれしくなりながらうろつくと、小笠原の固有種をあつめて展示している温室が ありました。憧れのムニンノボタンやオガサワラツツジもあって感激しましたが、 当然花の季節ではないので、撮影できたのは葉っぱだけ。
ここはオガサワラオオコウモリが見れるという噂の場所でもあるので、しばらく念入りに 下見をした後で、すぐ近くにある扇浦の方まで坂道を一気に下りました。
扇浦のすぐ近くには沢があるので、ちょっとばかりドキドキしながらのぞいてみましたが、 かなり塩水が入っている環境のようでトンボの姿は期待できません。
それでもしつこくのぞいていると、ふいに水底から黒い影。ゆらぁっと動いて一瞬姿を はっきりみせつつ、すぐに物影に潜りこんだのは1m近い大きなオオウナギ。 あわててデジカメを構えるも、二度とサービスはしてくれませんでした。ケチンボ。


亜熱帯農業センターの看板。意外に広いんス

亜熱帯農業センターのココヤシの木

ムニンノボタン。絶滅寸前の可憐な植物

同じく絶滅寸前の境遇にあるオガサワラツツジ

扇浦の砂浜まで行って、ちょいと一休み。青い波がヒタヒタと打ち寄せる音だけが 支配する静かな時間。時折イソヒヨドリのさえずり。至福。
浜辺を歩くと、グンバイヒルガオがまた咲いていたり、モンパノキやテリハボク っぽいのを見つけたりして、またデジカメが忙しくなります。
しばしのんびりした後で、同じ道を引き返して一路宿へ。途中でダムへ行く道を発見、 ちょいと寄り道をしたりもしました。残念ながらダムの様子がよく分かるような場所にはたどり着かなかった ものの、オカガニの仲間など、かわいい生きものにたくさん出会えました。


扇浦。泳いでも気持ちよかったのを覚えています

テリハボク?の実。かわいいカンジ。

途中で見かけたオカガニの仲間。ゴツイ感じ

名前はわからないけどひどくキレイな草。外来種

そのあともスクーターで走りながら、時々止まっては花を撮影したり、 景色を眺めたり、いろいろ感動したりと大忙しな感じで長谷、中央山 あたりをうろつきます。
行きには全く気付かなかったいろんな花を見つけ、何度も感動することしきり。 残念ながら大目標の昆虫類はほとんど見られず、超広域分布種であるウスバキトンボ が群れ飛ぶ姿を見るだけでしたが、かなり充実した時間を過ごしました。
散々走りまわったあとで、中央山に一登り。上り口から数分も行けば頂上に たどり着くのですが、父島中が一望できてなんとも素敵なポイントです。
案内板をたどりつつ、こっちが母島で、あっちが東京で、などとやっていると 時間が立つのを完全に忘れ、いつの間にか8時過ぎ。
今日は「きり丸」でイルカツアーとしゃれ込む予定ですが、その集合時間がたしか 8時50分。やばっ。
真っ青になりながら、大急ぎでスクーターをぶっ飛ばし、われらが実空荘に向かいました。


オガサワラヒメツバキのかわいい花

ホナガソウ。美麗極まりない外来種

トンネルの工事現場に咲いていたテリハハマボウ

中央山に咲いていたマルバシャリンバイ

帰り道も、海に面した各所が絶景のビューポイントで、ついついスクーターの アクセルも緩まってしまいます。
次回再訪する時は、景色だけをのんびりと眺めるような時間が取れると、 本当にいいのになぁ。


中央山からの眺め

二見港周辺の集落の全景



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