<3>小笠原・母島 |
というわけで、母島に無事到着。複雑な気持ちになりつつ、とりあえず
観光協会で手続き等していると、脇にオガサワラタマムシの死骸(右)があって
ちょっと見惚れてしまいました。実はこれがはじめての出会いなんです。
今回、泊まったのはこちらの民宿メグロ(左)。素泊まりのみといういい加減さがいいなと
思ったのですが、結果的にこの宿にしたことで楽しい出会いがあったのは嬉しい限り♪
んで、宿に入ろうとすると、さっそく悪名高きグリーンアノール(右)に遭遇。
しかし、さっそく初手から問題が発生しました。時間もないし、ということで急いで
レンタバイクを探しにいったんですが、どこも空きがないんです。
これは薄々予想していたことではあったんですが、母島のレンタバイクやってるところって
どこも予約ってモノをしてくれないんで事前手配ができなかったんですよ〜(ToT)
でも、中心街から島の北端まで徒歩2時間というサイズの小さな島なんですから、
歩いてだって、行って行けないことはない!計算上、日没前にはギリギリ着く!
ということで、そのまま保護区までひたすら歩いて行ってみることに…
道中、道端にはヘゴ(左)があったり、いい感じのガジュマルの大木(右)があったり、
南国ならではの出会いが続きますが、やはり目的地までは遠くてバテバテ。
あちこちに不思議な花(左)があったので、バシバシ撮ってから調べたら、
こいつが防虫剤で有名な有名なデリスなんですね。
不思議な実をたくさんつけたナンバンサイカチ(右)なんかもありました。
道端にメグロの死骸(左)を見つけて驚いたりとか。これは巣から落ちた雛っぽいなぁ。
友人のために持ち帰ろうとも思いましたが、よく考えると、こいつは特別天然記念物なので
もって帰る時点で違法なんですね。というわけで諦めたり。
驚いたのは、なにげなく道端の石をひっくり返すと、あやしいコウガイビル類(右)が
出てきたこと。これが悪名高いニューギニアヤリガタリクウズムシか、ついに母島にも
上陸したのか、などと慌てましたが、あとで聞くとこちらは別種のウズムシ類みたいですね。
道端でかわいらしいハシナガウグイス巣の巣立ち雛を発見。
なんとも愛くるしかったのですが、この時点でかなり日も傾いてきていて、
ろくすっぽ撮れなかったのはなんとも残念無念。
さらに、道端にはシュロガヤツリの群落(左)があったり、つぼみをたっぷりつけた
ムニンヒメツバキ(右)があったり、ささやかでも面白い出会いは続きます。
何度見ても惚れ惚れするシマオオタニワタリ(左)もあちこちで発見。
ムニンススキ(右)もあったので、思わず某セセリを探しますがいるわきゃありません(笑
やがて、保護区に到着。かなりの面積がアノール防止のフェンスで囲ってあって
そのパワーに初手から相当驚かせていただきました。
そして、現地に来てマズ思ったこと。「…ムリっ!」
こんな場所で、数も少ない蝶を探してさらに撮るなんて至難の業とかいうレベルじゃない。
はっきりいって、宝くじの方が確率が高いことは間違いなさそうです。
すでに薄暗くなりはじめた林を見つめながら、深〜〜い溜息を撒き散らし、
それでも来ちまったんだからしょうがねぇ、と改めて気合を入れなおしてみたり。
ちなみに、保護区の中にはそこら中にアノール捕獲器(左)があります。
これだけやれば、成果も上がりそうだと期待は高まりますが、それでもなぁ…
などと思い悩みながら宿に戻っていくと、グングンと沈んでいく夕陽(右)が見事でした。
しかし、ここで我ながら自分のバカさ加減を痛感したようなわけですが
「1時間以上歩いて日没にギリギリ間に合ったのなら、
暗闇の中を1時間以上歩いて帰らにゃならん」
この一点の曇りもない理論に、この後に及んで気付いてしまったり。
しかも、小笠原は太平洋戦争がらみの怪談がたくさんある場所なんですよね〜。
当然のように、車が通るわけでもなし、ひたすら誰もいない真っ暗な道を、
トラツグミの声を聞きながら歩きつづけることの心細かったことといったら。もう半べそ。
宿に帰ると、島寿司(左)のサービスがありました。
とりあえずこれで晩飯代わりにして、さっそく宿の周りをうろうろすると、
であったのは懐かしのオオヒキガエル(右)。おひさし〜♪
でも、時期的なものもあるんでしょうが、昔に比べると明らかに数が少ないんです。
さらに驚いたのは、あんだけいたアフリカマイマイもほとんどいません。
いつの間にやら、自然はさらに少しずつ変わっているんだなぁということを痛感。
自動販売機なんかのまわりをうろうろしますが、虫影はごく少ない感じ。
というのも、この日なんかはまだ結構肌寒かったんですよ〜。
それでも、あちこち粘るとハスモンヨトウ(右)やら、オオアカマエアツバ(右)やらを発見。
これもなかなか見る機会のないオスキバネヨトウも、♂(左)、♀(右)ともに
いましたが、なんせショボイ。蛾も小さなやつしかいないんです。むむむむ。
この日は、同宿の方のオススメもあって、NOAさんがやっているナイトレクチャーと
いうのに参加してみることにしました。内容としては「海亀の全て」というような感じの講義で、
説明担当者は非常によく勉強されており、話術もたくみで面白かったのですが、
個人的にはほとんどが知ってる内容だったので聞き応えはイマイチ。
その後、ちょうど産卵に上陸してきたアオウミガメがいるということで、みんなで見に
行きました。見ると産卵前の穴掘り段階だったのですが、撮影NGだったので写真はありませぬ。
レクチャー終了後もウロウロすると、街灯の下でホオグロヤモリを発見。
かなりすばしっこかったのですが、なんとか撮影成功♪
さらに別の場所ではオガサワラヤモリも見れました。
最初は識別に戸惑うかなぁと思いましたが、案外雰囲気とか違うんですね。
こちらはなんと単為生殖するというヤモリなので、D教授にペットに捕まえてきてくれと
言われていたことを思い出したのは、帰りの船の上でした。Dさん、スンマセン。
さらに歩くと、これまたでっぷりいい雰囲気のオオヒキガエル(左)に遭遇。
小さな小さなミナミハイイロヒメシャク(右)にも出逢えましたが、
それ以上の発見はないまま、散策終了。薄々分かっていましたが、虫影の少ない島ですね。
それでも、宿に戻ってもう誰一人いない台所でビールを呑んでいると、
最後の出会いがありました。オガサワラウスヒラタゴキブリです。
害虫というなかれ、これでも一応、固有亜種なんですよ〜〜〜♪
ということで、客の寝静まった民宿で、酔いの廻った真ら顔のまま、
床にはいつくばってゴキブリをバシバシ撮る、明らかな不審人物約1名に
なりつつ、初日の夜はふけていったのでした。
というわけで、初手から楽しめた一日でした。
風がちょっと強すぎるのは難点でしたし、移動ばかりで時間が取れません
でしたが、それでもあれこれと楽しめたのは小笠原の底力かな。
なんといっても、道端のアレコレが固有種だったり、帰化種でもこのあたりか
琉球のほうでもなきゃ見れないものなんですから面白い。
それでも、保護区を見たときの絶望感はすごかった…
例えるなら、クイズで調子に乗って難易度の高い問題を選択してみて、
出てきた問題がチンプンカンプンだった時の「やっちまった〜〜!」という気分に
似た感じですかね。ま、そのまんまですけど。
「いや、今のナシってダメ?」と本気で神様に聞きたくなりました。
それでも、帰りがけの真っ暗闇の中でしばし悩んでふっきれましたけどね〜(笑。
ま、翌日は島で初めてフルに24時間使える日。気合い入れてくぞ〜!