なちゅれ・小笠原旅行紀

9月19日
旅の終焉

ついに最終日。懲りもせず、またぞろ夜明け前に起き出して甲板へ。
すると、前夜からなんとなく分かっていたことですが、北上するにつれ圧倒的に天気が悪くなっていて、 一面の雲。そしてかなりの強風が吹き付け、肌寒いを通り越して、きっぱりと寒い。
同様に朝日狙いで起きてきたらしい人々の中には、すぐにあきらめて下りて行く人も多数。なんせ、風が ハンパじゃないんです。扇風機でいうところの「強」。それも超大型が真横に備え付けてある感じ。
それでもしばし朝日を待ちますが、とっくに上った明るさになっても、雲に隠れているようで 姿をあらわさないまま時が過ぎます。
これはダメかなぁと思いながら、白波立つ海原をぼ〜っと見ていると、やがて雲の切れ目から荘厳な 光。ほんのしばらくのドラマの後、再び濃く白い雲がすべてを覆い、何事もないような荒天に 戻りました。
昨日までの、青空満天雲一つなく、陽射しがジリジリ肌の上を走りまわる小笠原とは大違い。 あまりのギャップに愕然としながら、帰ってきちゃったんだなぁと実感します。


朝日が昇り始めた頃の曇り空

待つほどにようやく太陽が顔を出した

ほんのしばらくだけの光のドラマ

標本のようにキレイなうろこ雲

その後も、甲板に出るのですが、寒いし、風はつらいし、なんども船室に戻っては、 落ち着かないので甲板に戻る繰り返し。
朝ご飯も食べ、しばらくすると、この旅ではじめて、本格的に時間を持て余しました。 自分でもその状態に驚き、どうしようかと思い悩んでは見るものの、風はますます強く、 甲板にいると時々白波が船の舳先をたたいて、即席のシャワーとなって横殴りに 飛び付いてくる始末。
出たり入ったり、うろうろしていると、中央デッキになぜか人が集まっているのに気づきました。 なんとなく近づいてみると、中に松井さんの姿。
「なんか小笠原丸の内部を見るツアーっぽいぞ。来たらやってた」
というわけで喜んで潜りこみ、船内の見学へ。
まずは操縦室へ行き、ずらりと並んだ最新設備の群れの解説を受けます。
当たり前ですが、思った以上に複雑な仕組みで、思った以上に最新鋭のスルドい装備が船を 守っていることがよっくわかりましたが、足りない頭では複雑な設備の説明はできませんので、 あしからず。
個人的には、最新鋭のどんな設備よりも、一角にきちんとまつられていた神棚が印象的 でした。
その後、機械室に行って、エンジンの熱がこもる中で巨大なエンジン室を見学。そこで 分かったのは、いかにたくさんの人手が苦労してこの船を保っているかということ。 ダテに船代が高かったわけではないんですねぇ。
しかしエンジンの仕組みその他はやはり専門外なので、これまたあしからず。


小笠原丸見学ツアー

操縦室を彩る最新設備の一部

操縦室にやっぱりあった神棚

どのくらい海が荒れているかが分かる一枚

そんなこんなで見学も終わると、ついにやることが全くなくなり、船室に戻って 寝こけたりしているうちに、いつのまにやら旅の終焉も近くなります。
甲板に上がってみると、千葉最南端の風景が見え、やがて神奈川側の景色も目に入り、 あわてて海を見ると、すでに小笠原の青い海とは絶望的に違う色合いが広がっています。
そして、待つほどにやがてビル街の風景が目に入ってきます。
帰ってきちまった。
自分でも驚くほどのショックが背中を走り、脳髄をぶっ叩いて、どこかはるか上空へ 飛び去りました。
南の島で、全速力でいろんなものを追いかけていた時間は、あとほんのわずかで幕を引き、 船を下りたそこには、いろんなものに縛られっぱなしの自分が、愛想笑いしながら 待っている。
甲板の手すりに寄りかかりながら、ぐんぐん近づく町並みと、茶色い海原と、 空中を覆い尽くす雲をみていると、どこかしらの力が抜け、デジカメを 取り出す元気もないまま、かなり長い間ボ〜ッとしてしまいました。
やがて、ゆっくりと、船は岸に近づき、到着の知らせがアナウンスされます。 船室から出ていく人々の足取りが、少し重たげに感じたのは気のせいでしょうか。
降り立った東京は、一面の曇り空。肌寒い中を、日常生活方面へ戻るために、駅へ急ぎました。

しかし、実に充実した旅でした。
やがて思い出という樽の中で熟成して、光り輝く記憶に昇華していくと思います。
果たせなかった約束は多いけど、つかの間ながら弾けるような元気を南の島からもらった。
やっぱり、小笠原というのは素晴らしい場所なんですね。
一つだけわかるのは、それでもやっぱり、リベンジが必要だということ。
やはり3泊4日というのは、少しばっかり短すぎます。次回は、2航海、10泊11日でぜひ チャレンジしたいものですね。
次回、この報告を見て、幹事を名乗り出るのは、誰でしょうか?


これにて、旅路終了

おまけ:ヌマエビの仲間(刈田邸水槽にて)

おまけ:オガサワラヨシノボリ(刈田邸水槽にて)

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