山口の街中で〜鳥屋の生態学習〜 09.2/8

この日も、噂の珍鳥追いかけ編。この日はなぜかしら山口まで遠征。
ええ、昨日の情報にそのままトびついたん次第です(笑
噂の珍鳥は愛想もよく、大いに楽しませていただいたのですが、
しかし場所が予想外に街中で、撮っていると野次馬からの質問に無限に
答え続けるという大いなる苦行を強いられて、なんか疲れてみたり。
そして、いろんな意味で「鳥屋さんってスゴい!」と感嘆した日でもありました。
しかし、オマケで企画していたあたりはこれがあれもこれも
見事なくらいの総空振りでして、結果的には、なんだかイマイチかなぁ(^^;

<1>山口県某所

  
というわけで、早朝からやってきたのは山口県某所の街中。
狙いの鳥を探すまでもなく、すこぶる怪しげな鳥屋さん軍団を発見して近づくと
あっけなくそこに、今回の目的のカワビタキがいたのでした♪

  
さて、このカワビタキは愛想もよく、近くをチョロチョロしてくれるので大興奮!
というわけで、デジスコでバシバシと撮りまくります。ちなみに♀幼鳥とのこと。
こいつ、一応日本初記録という大珍鳥なんですよ〜。
なんで「一応」がつくかというと、過去に東京でも出ているけどカゴ脱けと判定されて
いるから。今回もおそらくは船に便乗してきた口だという推論が多いようですが…
ちなみに皆さん曰く「これが♂成鳥だったらまずカゴ脱け扱いだったろうね」(笑

  
そのうち、カワビタキ君はビュンとどこかに飛び去ったので、探しながら周辺をウロウロ。
水路には、ホウライシダ(左)が野生化していたり、驚くほどの大きなサイズの
オオフサモの群落(右)があったり、やっぱり町中なんだなぁという環境。

  
うろうろすると、遠くにカワセミ(左)がいたり、のんびり泳いでいるコガモ(右)が
いたり、あれこれ結構楽しめますが、結局カワビタキ君は見つからず。

  
ところが、最初の場所に戻ると、すでにカワビタキ(左)がもどっていていました。
途中スレ違わなかったけど、いったいどこから戻ったんだ?
そう思いつつ見ていると、尾羽を広げて(右)披露してくれました。面白いパターンだな。
んで、このあたりから面白い事態が発生。
次々と増える鳥屋さんに、見知った顔が続々……それが昨日のヒメハジロの
場所でお会いした方がかなり混じっているんです。んで、お互い笑いあったりして。
結局、2日連続でお会いする方が7名(!)いましたかね。
やはり、鳥屋というのはそれだけで治らぬ病のようなものみたいです(笑

  
さて、その後もカワビタキ君はサービスたっぷりに何度も登場してくれて、
その度にバシバシッと見事なシャッター音の嵐が鳴り響きます。
しかし、街中で怪しげな大砲級レンズのカメラが列をなしているというのは、あまりに
インパクトがあったようで、お次に集まってきたのは野次馬連中。
最前列にいた私は、問い合わせ窓口みたくなってしまいまして、結局数十人に
説明したんじゃないかナァ、というトんでもない状況。
車停めてわざわざ聴きに来る人も多数いましたし、一番ひどい時は
鳥屋と野次馬が同数くらいいましたからネェ(^^;
「何があったんですか!」「あ、いや、鳥を撮っているんです」
「え?どれですか?珍しんですか?なんて鳥ですか?」
「いや、実はこれこれこういう鳥でして、ほらあそこに今来ましたけど」
「へぇ、何匹いるんですか?え〜!一匹だけですか〜!」
こんな会話を延々と続けて、かなりのシャッターチャンスを逃がしましたよ。マジで。

  
ちなみに、その場所には真っ赤に色づいたトキワサンザシ(左)がありまして、
カワビタキ君はそれを食べに来ていました。
ちなみに、ツグミ(右)も同じ場所でモサモサと食事していたりして。

  
カワビタキ君の食事姿を撮ろうと頑張りますが、動きが素早いので、結局
お食事中はこの1枚が撮れただけで、あとはブレブレばかり。
スゴ腕の鳥屋さん達は止まりモノはあっという間に撮りあきて、飛びモノを狙って
らっしゃいまして、モノスゴい傑作を撮られている方もいらっしゃいましたが、
当方はというと、こんなの(右)が撮れただけ。う〜む、難しいものだ。
ウデの差も大きいのですが、機材差もどうにもならないレベルですネェ。

  
その後も、カワビタキ君は愛想よく何度も登場しますが、どうもこちらが
気になるようで、撮れるのは横姿と前顔ばかり。
いい感じの後ろ姿を撮りたくて粘りますが、なかなかウデがついてきませぬ。
そうこうするうちに、イソヒヨドリによく似た声でグゼッてくれて再度ビックリ。

  
時折、コンクリの塊の下に隠れて(左)みたり、結構面白い行動パターンでした。
独特の尾羽のパターン(右)も披露してくれたりしましたが、まぁなんせかわいい鳥だこと。
ちなみに某氏の「青いシマゴマやね」の一言、すごく的確な表現な気がします(笑

  
やがて、カワビタキ君は水路のトンネル内でなごみ始めたので諦めて
ぐんと移動することに。んで、やってきたのは前々から一度訪ねてみたいと
考えていた「豊田蛍の里ミュージアム」(左)。
さっそく中に入るとタガメ(右)なんかも展示してありましたが、なんと、一番
期待していたコバンムシのケージが空っぽ!うそ〜、わざわざ来たのに!

  
中をゆっくり見させていただくと、アカザ(左)がけだるい雰囲気でお休み中。
さらに見ていくとカジカ(左)もかわいいポーズをとってくれました。

  
ガラスの関係でうまく撮影できなかったけど、イシドジョウ(左)やら
タイリクスジシマドジョウやらも展示してありました。なんとか野外でも捕りたいよなぁ。

  
さらに、なかなか捕れないトゲナシヌマエビ(左)も展示してあったり、
こちらもなかなか出会うことのないブチサンショウウオ(右)もいたりいい雰囲気。
それでは、と意気込んで周辺の水生昆虫やら魚やらについての話を聞こうとしましたが
受付のお嬢さん曰く「今日は学芸員がいませんので何もわかりません」。
ええ〜、ここでいろいろ話を聞いてから、突撃しようと考えていたんだけど…

  
しょうがないので、メクラメッポウで周辺の面白そうな河川に突撃。
しかぁし、これがなんも捕れないんです。頑張りまくって、ようやくスナヤツメが
1匹入ったけど、網の破れ目から逃げやがるし。次の場所も成果皆無で、
さらに水田地帯の水路に攻め込むと、カワムツ(左)と、やたら大量のアブラボテ(右)
が捕れるだけ。たしかに何も調べずに来たけど、これはちょっとヒドくない?

  
諦めきれずにうろうろすると、ぎっしり花芽のついたオオバヤシャブシ(左)を発見。
これまた面白い感じに実をぶら下げたヌルデ(右)もありましたが、
結局この後も面白そうな水路にはぶつからず、さらに転戦することに。
次は、きっちりと下調べをしてから挑戦することに致しましょう。トホホ。

  
んで、最後にやって来たのは、こちらも一度行ってみたかったきらら浜。
干潟を見ると、さっそく大きな魚を捕らえたミサゴ(右)が目に入って大興奮。

  
ビジターセンターに入ってみると、マメコブシガニ(左)やら、ヤマトオサガニ(右)やら
といった、かわいらしい系のカニ類も展示されていました。

  
そして、ビックリしたのが、それと一緒に展示されていたカブトガニ。
大喜びでバシバシと撮影しまくりましたが、茶色っぽい個体(左)と、
灰色っぽい個体(右)がいたのが印象的でした。どういう差になるのかナァ?

  
日暮れも迫る中で、浜辺をうろうろすると、少し遠かったですが、ツクシガモが
3羽いるのを発見。それ以外にウミアイサなどもいましたが、ロクに撮れないまま
閉館時間になりました。じっくり歩くと、出会いの多そうな面白い場所ですね。

  
閉門後、近くの葦原で猛禽類を探すべく、気合を入れて歩いていくと、
葦原のど真ん中でモトクロスの練習しているヤロウ(左)発見。かなり騒々しいし。
こりゃダメかナァ、と思っている間に雄大な夕陽が沈んでいきました。

  
モトクロスは帰ったけど日も暮れたし、諦めて帰ろうとすると
チュウヒ(左)、ハイイロチュウヒ(右)ともに登場。でもすでに暗すぎるぅ!
というわけで、全く撮影にならず、泣きながら引き上げることになりました(ToT)

というわけで、最初はよかったものの中途半端な一日でした。
特に途中の魚捕り、ここまで空振ったのは久しぶりですね(^^;
蛍の里ミュージアムでは、お魚捕り大会みたいな企画もよくやっているようで、
ここで聞けばある程度はという下心が見事に空振ったのがイタかったわけですが…
またそのうち再挑戦するぞっと!
そして、今回、なによりも面白かったのは「鳥屋の生態」を再学習したこと。
蝶でもトンボでも、生きもの屋の世界はすべからくディープですが、
ここまで分かりやすくビョーキ風味な世界は少ないでしょうね。
だって、500km離れた場所で、次々と同じ顔に会うんですから(^^;
そして、そのようなビョーキな世界が世間様の目にどう写っているのか、
ということについても、今回の野次馬の嵐の中で存分に勉強させられたりとか。
「鳥を撮りにわざわざ数百キロ離れた場所に行く」時点で理解不能、
それがどう見ても面白みのない地味な小鳥ときた日には、
アキハバラの住人達と大差なく受け止められちゃうんですネ。
いやはや、我ながら末恐ろしい世界に足を踏み入れたモンです。
ま、今さら、世間様の中に戻れるとも思っちゃいませんからイイんですが(笑


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